H22年3月14日に歯科医師を対象にホームページの症例を説明しましたが、その後「残した歯は使えているのか」「私なら抜いてしまうが、なぜ抜かないのか」という質問が寄せられました。
症例で出した患者さんたちの歯は、現在腫れや痛みも無く普通に使えます。
症例1の方は、3年くらい経ちますが残っている4本の歯はぐらつきも無く安定しています。
症例2の方は、初め左下4番の歯はぐらついていて噛むと痛かったのですが、今は骨植もよくなりしっかりして噛んでも痛くはありません。
症例4の方は、状態が厳しい歯は背を低くし負担を減らして長く残せるように工夫しています。
快適義歯は、山本先生のキーゾーン理論という偉大な先人の知恵により、歯に対する負担を減らし、長く口の中で安定するように工夫しています。
偉大な先人の知恵といえば、厳島神社の大鳥居は 高さ16m、重さ約60t、それを先人の知恵によって鳥居の重みだけで立っています。感動的ですよね。
また、何故抜かないのかという問いには、抜く必要が無いからと考えています。
そういう質問をされる歯科医師の多くは、残せたらいいとは内心思われていると思います。しかし、実際にやってみると、うまくいかない、苦労しただけで結局はさっさと抜いたほうが良かったという経験をされているからだと思います。
実際 浅田技工士と出会うまでは、そんなことが出来るとは思っていませんでした。昔は患者さんから「入れ歯を入れると金具をかけた歯が順に悪くなる」と言われ、それに対して有効な対策が無いのが現実でした。
日本には、仏教の思想が広く浸透していますが、法華経では、久遠仏(法身の釈迦)は、自分の胎内にある全てのものに大いなる慈悲の心を持っていると教えています。
そうだとしたら、日本人にはたった1本の歯でも大切に大切にしていくことが必要に思います。
例えば、右手の親指と人差し指、中指を失ってしまったとします。
うまく作れないからといって、薬指と小指を取って手首から義手を作ろうとするのでしょうか。作れるなら、薬指と小指はそのままできれいに作るのではないでしょうか。指も歯も大切な身体の一部です。
また子供の頃、同級生に入院して扁桃腺を手術して取る人が何人かいました。
扁桃(扁桃腺のこと)は、体を守る大事な場所です。
今でも手術して取ることがありますが、害が無く治せるなら絶対に残しておいたほうが良い場所です。害があるからと安易に取ろうとするのでしょうか。
歯も同じだと思います。 多くの歯科医師にはなかなか出来ないのですが、先人の知恵により、歯に無理をさせることなく残せるという夢が叶ったのです。
生前山本先生が講演されていた頃も、ほとんどの歯科医師は理解できなかったそうです。 現在山本先生のやり方で義歯を作れる医院は、せいぜい日本中で10軒だそうです。 そのため私は患者さんに知っていただき、幸せになっていただきたいと思っています。
もちろん何が何でも無理やり残したほうがよいといっているわけではなく、重度の感染がある場合など、抜いたほうが良い場合もあります。でも、自分の歯を残せるなら、ぜひ残したいと思っている方はたくさんいます。また、抜いたほうがいいという歯科医師も、自分が抜かれる立場になったら何とか残そうとするのではないでしょうか。
実際には、自分の歯も失わずに快適に生活できる方法があれば是非やりたいという方は多いと思います。
インプラントという方法もありますが、全てではありません。何百万もかけてもうまくいっていない、調子悪いという方はたくさんいるようです。オールオンフォーをやるために歯を抜くのは違うのではと思います。
そういう方達にも、いろいろな選択肢を提案し、幸せになっていただきたいと思っています。
公演でも話しましたが、誠実に良い仕事をし、患者さんと共に幸せになっていけたらと願っています。
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